「ただいま帰りましたー」
一言挨拶をして、私は屯所に入った。
…今日はやばかったなあ…
巡回中に、近藤さんの暗殺を目論んでいる人を偶然発見…人数は2人。
これはすぐに何とかしないと、と思い…私は戦闘を仕掛けた。
で、無事勝ったけど…左肩に大怪我を負ってしまった。
とりあえず二人を気絶させておいて、私は真選組の人達に連絡。
駆けつけてきてくれた人達に彼らを任せ、私は屯所へ帰る事にした。
(ついていく、という人もいましたが…一人で帰りました。帰るくらい一人で大丈夫ですから。)
「おう、お帰り燐音ちゃ……ってちょっとォォォォォ!!!」
「はへ?何ですか近藤さん?」
「はへ?じゃないよォォォォ!!!凄い怪我してるじゃん燐音ちゃん!!」
まず最初に迎えてくれたのは、近藤さん。
…私の肩を見るなり、絶叫した。凄い慌てようだ。
それを聞いた真選組の皆もまた、近藤さんのように大慌て。
大丈夫なのに…これくらい。
「だ、大丈夫ですこれくらい!!真選組の人の為なら怪我の一つや二つ…」
「大丈夫、じゃねェだろ。それで剣持てなくなったらどうすんだ?燐音…」
「ひ、土方さん……」
土方さんが相変わらず瞳孔の開いた目で私を見下ろし、怪我のしていない右肩に手を置いた。
凄い申し訳ない…そんな気がした。
気のせいかもしれないけど…土方さん、いつもの表情のだけど…凄い心配そうな顔してるから。
「…すみません」
「あー、謝んな。何はともあれ、とりあえずお前が無事に帰って来たんだ。それだけで十分だ」
「! …あ、ありがとうございます…」
土方さんは空いた手で私の頭を優しく撫でてくれた。
やっぱり土方さんは優しいなあ……
土方さんは私の頭を撫でながら「オイ、誰か医者呼べ医者」と言った。
…その時。
「土方死ねェェェェェェェエエ!!!」
「うおッ!!!!総悟ォォ!!何すんだァァァ!!!」
「きゃぁっ!!お、沖田さん…!?」
いきなり刀を持った沖田さんが土方さんに襲い掛かった。
危なかった……下手すれば私まで斬られそうだった…じゃなくて!!
それより危なかったのは土方さんだ…土方さん、避けるの上手いなあ…
「何燐音の頭気安く撫でてんだィ。燐音の頭から爪先まで触れていいのはオレだけでさァ」
「燐音がいつからテメーのもんになったァァァ!!!」
「っていうか沖田さん、危ないじゃないですか!!土方さんの命と私の命持って行く気満々でしたね!?」
「まさか。オレが狙ってたのは土方さんだけでさァ。燐音には当たらないようにしますぜィ。」
「「どっちにしろオレ(土方さん)は殺すのかァァ!!(ですか!!)」」
怪我していることも忘れ、私は土方さんと同じタイミングで同じツッコミをした。
…ッ!!
大声出したせいか…傷が痛み出した。
「あーあー。大声出すから痛くなったんですぜ、燐音」
「誰のせいだと…」
「丁度良く医者が来たみたいだぜ、診てもらってこい」
「あのハゲ親父ですかィ。燐音、肩診て貰うには服脱ぐんでしょう?片腕じゃやりにくそうですしオレが…」
「いいです自分でやります!!!」
私は服に手を掛けた沖田さんの手を振り払い、足早に駆けつけてくれたお医者様の元へ行った。
全く…何なんだか、私の隊長は。
「燐音~」
「…沖田さん、今度は何ですか?」
「次そんなような怪我して帰ってきたら許さねぇですぜ。アンタはここで笑ってくれりゃいいんでィ」
また私の元へ駆け寄ってきた沖田さんは、自分の隣を指差してそう言った。
何だか胸が温かくなった。さっきまで…私は彼に少し怒ってたけれど。
そんな怒りが、どこかへ行ってしまったよう。
「クスクス…わかってますよ、次はちゃんと怪我しないで帰ってきますから」
暖かい場所
(みんなみんな、優しいですから)